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Chapter 5.2

規格に関するグローバルな視点

産業安全は世界共通の関心事ですが、規制は地域ごとに大きく異なることがあります。 本チャプターでは、主要な国際規格について掘り下げ、それらがより安全でコンプライアンスに準拠した職場づくりにどのように貢献するのかを解説します。

機械は世界中どこでも安全でなければならない

作業安全や労働衛生に関する規則が存在しない国はありません。しかし、それらの規則は地域によって大きく異なることがあります。ここでは、世界各地の標準化の仕組みを概観します。

ヨーロッパ(EU加盟国およびEU加盟を目指す国々)では、機械メーカーとその機械を運用する企業の責任が明確に区別されています。多くの規制や標準が、それぞれの当事者の義務を詳しく定めています。

一方、アメリカ、ブラジル、南アフリカ、オーストラリアなどの地域では、こうした明確な責任分担がありません。これらの国では、労働安全衛生に関する規制が、安全な機械設計の指針を決定する主要な要素となります。例えば、アメリカでは、連邦規則集(CFR 1910)に記載されているOSHA(労働安全衛生局)の規則が、産業安全の確保において重要な役割を果たしています。

技術者や営業担当者から最もよく寄せられる質問の一つに、「この国やあの国で製品を販売できますか?それとも追加の規制や標準を遵守する必要がありますか?」というものがあります。この問いに対する答えは単純な「はい」または「いいえ」ではなく、多くの場合、慎重な調査が必要になります。本節では、こうした疑問を解決するため、世界の標準化の仕組みを概観します。

地域ごとに規制の枠組みは異なりますが、すべての工業国は国際規格に依存しているという共通点があります。主要な国際機関としては、ISO(国際標準化機構)とIEC(国際電気標準会議)があり、これらの機関は、世界中の数百に及ぶ国内標準化機関や、欧州の三大標準化機関(CEN:欧州標準化委員会、CENELEC:欧州電気標準化委員会、ETSI:欧州電気通信標準化機構)と緊密に連携しています。

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国際規格の地域別採用と施行

国際規格が各国の国内規格としてどの程度採用されるかは、地域や国によって大きく異なります。

例えば、ヨーロッパでは、欧州標準(EN)は欧州標準化機関のすべての加盟国で受け入れられる必要があります。一方、ISOの加盟国は、国際規格を自国の国内規格リストに追加するかどうかを自由に決定できます。このため、ある国際的な産業安全規格が米国標準や中国標準として採用されている一方で、他の国では採用されていない場合があるのです。さらに複雑なのは、国際規格が各国独自の修正や追加を伴って採用されるケースがあることです。

もう一つの違いは、規格の拘束力の度合いです。技術規格は通常、民主主義国家では法的拘束力を持ちませんが、中国のような一部の権威主義国家では、規格が法律または法律の一部とみなされることがあります。しかし、EUのような民主主義国家や地域でも、多くの技術規格の適用を義務化しています。例えば、ほとんどの産業安全規格は欧州連合官報(OJ)に掲載され、「適合推定(Assumption of Conformity)」が付与されます。つまり、メーカーがこれらの公表された調和規格に従って製品を製造すれば、それらの製品はEU規制に適合していると見なされるのです。

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FAQ

EUにおける「適合推定(Presumption of Conformity)」の意味

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